Communication

   

光受寺通信を文章でよむ

 

光受寺通信を「文章で読みたい」とリクエストがございましたので、
「住職のはじめの一節(序文)を」
そのまま文章でもお楽しみいただけるように追加ページを作成いたしました。

   
  • 2023年09月05日執筆
  • また会おう

    8月の猛暑の中、80代の男性が亡くなられました。ご門徒ではなかったのですが、ご縁があって葬儀を執り行なわせていただきました。

    葬儀式を終え、出棺時間が近づくと、親族の皆さんがそれぞれにお棺にお花を入れ、愛用されていた物も入れたりしながら合掌し、すすり泣く声も聞こえました。「ありがとうね」「お世話になりました」など様々な思いを言葉にしていらっしゃいました。

     

    そんな中、館内にひときわ大きく響いた声が「また会おう」という力強い言葉でした。どなたの声であったのかは定かではありませんでしたが、その言葉に私はつい涙腺が緩んでしまったのです。

    「また会おう」。この言葉を発せられた方はどんな思いを込めての言葉だったのかは分かりませんが、また会えるという確信に満ちた力強い言葉は、この葬儀をより意義ある場として与えてくださったように思ったのです。

     

    阿弥陀経に「倶会一処」(くえいっしょ)という言葉がありますが、お念仏申す者たちは、必ず浄土にて会う事ができるといただいております。

    ご法事や月命日、日常生活のあらゆる場において、私たちはお念仏の世界で出会い直してゆくことができるということです。


     

  • 2023年08月04日執筆
  • 地球温暖化

    今年はまさに異常という言葉がふさわしいほどの暑さが続きました。

    その主な原因であると思われるこの地球の温暖化現象を、あるテレビ番組でのコメンテーターが「自業自得」という強い言葉で締めくくっていました。私も「なるほど」と、つい頷いてしまいましたが、どこか他人事のような受け止め方をしている自身に恥ずかしさを覚えました。

    事実、高度経済成長下において、その恩恵を大いに悦び、もっともっとと夢を膨らませていたのは自分自身だったのですから。

     

    ところで「自業自得」という言葉が仏教用語であることは皆さんよくご存じの事と思いますが、どちらかというと悪い意味合いで使われることが多いようです。しかし仏教的に理解すれば「自業」とは、自分の行い、「自得」とはその結果を言い、それが善悪に関わらず使われる言葉なのです。

    仏教ではほかにも「因果の道理」(因果応報)として説かれていますが、やはりそれは良いも悪いも自業の自得だということなのです。

     

    さて、この地球の温暖化現象は人類も含め、すべての生物の、地球そのものの存続の危機が迫っている兆候であることに間違いはありません。また、その自業の責任は人類に託されていることも間違いのないことです。地球はひとつ。GDPに踊らされ続けている愚かさを真に知る時だと思うのです。


     

  • 2023年07月12日執筆
  • 気になる希薄な人間関係。

    近年、不登校生徒が増え続けているそうです。中でも中学生は、小学校、高校に比べて圧倒的に多く、令和4年の10月の文部科学省の調査では、小学生、高校生が2パーセント未満なのに対して、約5パーセントもの生徒がその対象だというのです。クラスに一人の生徒がいることになります。

    先日、法務の途中でしたが、とても気になる新入生らしき女学生を見かけました。なぜか同じ場所を行ったり来たりしていたのです。およそ30分後にも同じ場所を通りかかったのですが、やはり同じことを繰り返していたのです。

    私は尋常ではないことを思い、学校に連絡しようかとも考えていましたが、しばらくすると意を決したのか、ゆっくりゆっくりと自転車を漕ぎ始めました。私は少し離れてついて行ってみましたが、やっと校門をくぐることができました。それは午前十一時近くのことでした。

    「行きたくても行けない」何か深い悩みを抱えているだろうかと心が痛みましたが、彼女自身の力で行動できたことに、胸を撫で下ろしました。後日、一人で学校に向かう姿を見うけ、大丈夫そうだなとは思いましたが、しばらくは見守っていこうと思っています。

    かつて私たちの生きてきた社会では、地域社会との関わりが深かったことから、社会全体で子供を見守り、育てるという環境が備わっていたかと思います。しかし時代と共に「隣は何をする人ぞ」的な関係が蔓延し、近所で亡くなった人があったとしても、気づかないくらいのことです。

    社会、家庭において、ますます希薄になりつつある人間関係は防げるはずの悲惨な事件や事故をも防げなくなるのではと危ぶまれます。「不登校問題」の遠因の一つが、こんなところにあるのではないかと思われてくるのです。


     

  • 2023年06月07日執筆
  • 私は最近になって、家庭菜園らしきものに取り組んでいます。昨年はご門徒さんから苗をいただき、プランターなども使って育ててみました。トウモロコシや枝豆、かぼちゃに人参など、全くの素人で育てられる自信はほとんどなかったのですが、意外にも多くの収穫を得ることができました。

    特にトウモロコシにおいては、穂が出て、実がつくかどうかがとても心配でしたが、穂が出て実がなり、大きく生長していく様子を見ていると、毎日がとても楽しみでした。やがて収獲し、いただいた時には一人感動し、周りに言いふらしていましたが、みんなどこかシラケていました。

     

    私は、わずか一年間の経験でしたが、土と接することにより貴重な体験をし、普段には感じることのなかった感覚を覚えました。自然の力というか、土の力というか、人智をはるかに超えた底力みたいなものを改めて実感し、まさに地球上のすべての命名を育む大地だと、頭が下がりました。

    今年も同じように苗をいただいて作付けをいたしました。新たにナスにシシトウ、ピーマンなどにも挑戦し、その成長を楽しみに、まるで友人のように話しかけるように一緒に育っています。

     

    ある人曰く、「そんなもん、買った方が安くつくよ」。と言われます。確かに土代、肥料代、手間代計算したらそうかもしれませんが、「損か得か」の世の在り方では決して味い知ることのできない、よろこびがあるように思うのです。

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